中国に進出する日系企業などで構成される中国日本商会は7月29日、「中国経済と日本企業2022年白書」を発刊した。白書は、中国の中央・地方政府との対話促進を目的として、中国各地の商工会組織の日系企業(法人会員8,353社)が直面する課題の分析および解決のための建議(総数526件)をまとめたものとなる。白書の作成に当たっては、最前線で中国ビジネスに取り組む会員企業など約50人が執筆を担当したほか、中国日本商会調査委員会(事務局:ジェトロ北京事務所)が企画・編集などの取りまとめを行った。
今回で第13版となる白書の主要な訴求点は引き続き「公平性の確保(特に予見性・透明性の向上)」に、重点分野は(1)「コロナ規制の緩和」、(2)「カーボンニュートラルに関する協力と要望」、(3)「データの越境・管理に関する問題」の3点に設定された。
(1)に関しては、6月後半以降、一部の日中間直行便の再開や入国後隔離期間の短縮、ビザ申請時の政府機関による招聘(しょうへい)状が不要になるなどの規制緩和が相次いだ。他方、日本人留学生に対する留学ビザの発給再開、日本向け団体旅行の認可再開、日本人に対する滞在期間15日間までの査証免除措置の復活など、依然として解決が待たれる問題も多く残っており、これらについて引き続き当局に改善を求めていくとした。
(2)では、中国政府が2060年までの国家目標として掲げているカーボンニュートラルの達成に日系企業が協力・貢献していくに当たり、各種インセンティブの付与などを提起した。
(3)では、2021年9月にデータセキュリティ法が、同年11月には個人情報保護法が施行されたほか、一部業界でもデータ関連規定の施行が始まったことを受け、こうしたデータ関連法令の運用などの詳細を定めた細則の早期制定・公布や実際の運用面での配慮を要望した。
白書の建議を3つの柱に集約した「建議の3要素」は、引き続き「公平な競争」「対外開放」「行政の規制運用・手続」とした。特に「公平な競争」においては、政府調達における輸入品と国産品、外資系企業と中国企業の平等な取り扱いや標準策定プロセスにおける外資系企業の参加の保障などを要望した。また、一部の分野において国産品であることを調達要件とするような動きが継続しているとされることに関し、そうした条件や基準の明確化、同基準に基づいて認証された製品の公開などを求めている。